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伝えるとは

 

 

研究発表において、「実験結果」は「核」となるものです。そのため、実験結果を示した図表が見にくかったり、カッコ悪かったりすると、発表に説得力がなくなってしまいます。実験結果の示し方は、グラフや表、写真など、研究分野や実験手法によって様々です。ここでは、見栄えの良い図表や写真などの制作テクニックを紹介します。まずはグラフから。

 

エクセルのグラフは必ず編集してから使う

グラフを描く方法はたくさんあります。統計解析用のソフトを使っても描けますし、グラフ作成ソフトを使っても描けます。でもここでは、もっともポピュラーで、利用者が多いと思われる「Microsoft Excel」を使ってのグラフ作成テクニックを紹介します。が、まず言っておかなければいけないことは、「Excelで作ったグラフはとってもカッコ悪い」ということです。初期設定のままでは、見づらいだけでなく、手抜き感が丸出しです。「Excelで作ったグラフはそのまま使わない」のが鉄則です。

下のグラフ(まずは散布図)を見てください。これは、Excelで初期設定のまま作ったグラフです。妙な色・形のプロット(マーカー)、黒い回帰直線、なぜか薄いグレーの軸、グラフの周りに余計な枠、そしてあってないような影に、妙なグラデーション。これでは見る気がしないし、実際見にくいと思います。最近のExcelでは、多少きれいなグラフを作ってくれるようになりましたが、余計な要素が多すぎて、お世辞でも見栄えがいいとは言えません。これをこのままポスターやスライドに貼付けてしまっては、せっかくきれいに作っているスライドも台無しです。そんなExcelですが、実は、誰にでも簡単にグラフの編集ができ、ちゃんとしたグラフが作ることができます。ここではグラフの三大巨頭「散布図」「棒グラフ」「折れ線グラフ」を例に、Excelを使った見栄えの良い(カッコ悪くない)グラフの作成例を紹介していきます。

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では早速、上の散布図を直してみましょう。まずは、学会などで使い勝手がいいように改善してみます。下の例は、「色の変更」「影の除去」「回帰直線の変更」「フォントの種類/サイズの変更」「縦軸の範囲」「軸の色の変更」「マーカーの形の変更」をしてみました。これだけで、かなり見栄えが良くなります。なお、マーカーの色の設定には、マーカーの「枠線」の色と「塗り」の色を選択できます。初期設定では、両方に色が設定されていますが、実際にはどちらか一方だけに色を付ける(他方は「なし」or「白」に指定)ほうがよいでしょう。

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もう少し改善すると、より魅力的になります。下のグラフはその一例です。学会などには不向きかもしれませんが、非科学者に対するサイエンスコミュニケーションの場では、これくらいポップにした方が抵抗なく見られるかもしれません。

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次は「棒グラフ」。Excelそのままでは、やはりダサい。余計な要素が多すぎて、内容に目が行きにくくなっています。説明は不要かもしれませんが、軸の色が薄いこと、なくても良いグラーデーションがあること、グラフの下に影がついていること、目盛が多すぎること、グラフの周りに不要な枠があることなどがも問題です。

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棒グラフは、例えば下のようにすれば、見栄えが良くなります。今回は、「色の変更」「バーの外枠の削除」「不要な枠の削除」「凡例の位置の変更」「書体の変更」「補助線の削除」をしてみました。また、バーとバーの間に少し間を空けました。

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学会などでは使いにくいですが、もうちょっと手を加えると、下のようにもできます。雑誌や新聞に載っていそうな「一般受けするデザイン」といったところでしょうか。

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最後に「折れ線グラフ」。解説の必要はないと思いますが、やっぱりダサいです。

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下が改善例です。全体を正方形にし、色や書体、マーカーの形を変更しました。これでだいぶ「カッコよく」なったはずです。散布図の場合と同様、初期設定では、マーカーの「枠」と「塗り」の両方に色がついているので、どちらか一方の色は「なし」にするのが鉄則です。今回は、枠の色を「なし」にしています。エラーバーが重なって見にくくなっていますが、残念ながらこの問題はExcelでは解決できません。(エラーバーに水平線をつけるとやや見やすいかもしれませんが…)

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例によって、もう少し洒落たバージョンです。Excelでもこれくらいのものは簡単に作れます。

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Excelを使えば、他にも下のようなグラフを簡単に作ることができます。

グラフの例

 

もちろん、Excelでも、論文に使うような真面目なグラフも作ることができます。解説は省略しますが、以下に散布図と棒グラフの例を載せておきます。

当ウェブページでは、グラフの修正方法を逐一解説することはしませんが、Excel上で編集したい部分をダブルクリックor右クリックして試行錯誤すれば誰にでも編集できます。少し時間をかけるだけで、だいぶ印象が変わるので、実践してみてください。さらに細かな調整をしたいときや、凝ったグラフを作りたいときには、Illustratorなどを使って編集しましょう(注意点は以下を参照)。ちょっと長くなりましたが、グラフの作り方のコツは以上です。

 

●IllustratorでExcelのグラフを編集するときの注意点

Excelで作ったグラフを Illustratorで編集するときには、互換性の問題で、やや面倒なことが起こります。貼付けたときにクリッピングマスクが自動的に作られてしまうので、選択したい文字や線が思い通りに選択できなくなってしまいます。そのため、ちょっとしたコツが必要です。以下のような手順でこの問題を解決してください。

① Excelのグラフをふつうにコピーして、ふつうにIllustratorに貼付ける。

② グラフのない余白部分に、「長方形ツール」で「四角」を書く。

③ この四角の「線」と「塗」の色をいずれも透明(なし)にする。

④ 四角を「選択ツール」で選択し、その状態のままツールバーの<選択>から<共通>→<塗りと線>を選ぶ。

⑤ すると、見えていなかったものがいろいろ選択されますので、Deleteキーで一発削除。

これで、グラフを簡単に編集できるようになります。ただし、①~⑤作業をすると、注目しているグラフ以外のクリッピングマスクも削除されてしまうので、注意してください。この作業は、新規作成したファイル上で、行なう方が安全です。

 

 

ひと工夫すれば、表も見栄えよくなる

下の例の左側のように、縦線と横線で構成された典型的な表は、どうも見栄えよくありません。罫線が目立ちすぎてごちゃごちゃして見難い上、雑な仕事をしているように見え、印象がよくありません。右の例のように余計な線を消し、行間をゆったりとり、フォントを変えるだけで、表は見栄え良くなります。いずれの変更も、ExcelやWord, PowerPoint上で行なうことができます。

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上の改善例は、論文風のマジメな表でしたが、これではポスターやスライドなどの「見せる」資料との相性があまり良くないかもしれません。そんなときは、下のように変更するとさらに見栄えも良くなり、プレゼン資料との相性もよくなるはずです。もちろん、枠線だらけの元々の表よりも、見やすくなっています。デザインは、ただカッコいいだけでは何の意味のなく、使いやすさや見やすさを向上させねばなりません。

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複雑な表の場合

少し複雑な表の場合は、もうひと工夫するとさらに見やすくなります。下の①~③の例を見てください。どれもExcelを使って制作したものです。①は、必要な事項を入力して枠を付けただけの表で、罫線が多すぎるために、ごちゃごちゃした印象になり、結果として文字や数値が目立ちません。学会発表などでは、このような手抜きの表をしばしば目にしますが、論文や本、雑誌で使われていることはほとんどありません。もちろん、見やすくもカッコよくもないからです。

表オリジナル

 

そこで、表を作るときは、不要な罫線をなくし、フォントを変更し、行間をゆったりと取り、②のようにします。これで、余計な要素がなく、見やすい表になります。

ところが、表というものは情報量が非常に多くなります。学会発表などのプレゼンで、相手にしっかりと内容を伝えるためには、重要な箇所をもう少し強調した方が良さそうです。また、データが増え、表の列数が増加する(表が横に長くなる)と、一つの行を正確に目で辿るのが困難になるという問題が生じます(今回の例で言えば、調査地と雌の体長の値を対応させるのが難しくなるということ)。

表改訂2

 

 

この問題点を解決するためには、③のような表を作ると良いでしょう。例えば、体長を強調したいのであれば、そこの部分だけフォントのサイズや色を変更して強弱を付けると、聞き手は複雑な表から重要な情報を容易に受け取ることができます。また、行の背景に一行おきに薄い色をつけることで、同じ行の情報を対応させやすくなります。複雑な表になればなるほど、このような工夫が必要になってきます。

表改訂

 

 

引き出し線は細く、規則正しく

模式図などを書いたときには、「引き出し線」を使って各部位の名前を入れたりします。この引き出し線の引き方で、図の印象ががらりと変わってしまいます。左は引き出し線を何となく引いた例です。これでは、線の角度に統一感がないうえに、線が太くすぎるので、少々不格好です。こんなときは、右の2つのように、自分なりのルール(角度や長さなど)を決めてすべて同じような線を引くと、統一感のあるスタイリッシュな印象になります。引き出し線にはこのような配慮が必要です。

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下の例では、引き出し線に「垂直+水平」というルールをもうけることで、とても見やすくなります。

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写真は歪めないで、同じ形にトリミング

写真は、カメラで撮った縦横比のままで使うよりも、自分で手を加えて使う方がカッコ良くなります。一番簡単なのは、写真を「正方形」にするというテクニックです。とはいえ、下の写真のようにむりやり縦や横に伸ばして形を変えては、絶対にいけません。必要なところだけをトリミングして、形を整えましょう。下のように正方形にして並べれば、とてもおしゃれで、統一感も出ます。

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